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アレルギー性鼻炎の治療薬の注意すべき副作用

[2025.02.06]
アレルギー性鼻炎に処方される薬の多くは、副作用も小さく長期にも内服できます。しかし、一部には注意が必要な副作用がある薬剤もあります。(1)は頻度が高く、(2)(3)(4)は危険性が高い副作用です。

(1) 抗ヒスタミン薬(もっとも一般的なアレルギー性鼻炎の治療薬)の眠気
(2) ディレグラの高血圧
(3) 血管収縮作用のある点鼻薬による鼻閉(点鼻薬性鼻炎)
(4) セレスタミン配合錠の長期投与によるステロイドの副作用

(1) 抗ヒスタミン薬(もっとも一般的なアレルギー性鼻炎の治療薬)の眠気
抗ヒスタミン薬には眠気に注意が必要なものが多く、車の運転に制限がある内服薬が多数存在します。 薬の説明書に車の運転に関するする記載がない内服薬は、アレグラ(フェキソフェナジン)、ディレグラ(フェキソフェナジンと血管収縮薬の合材)、ビラノア(ビラスチン)、デザレックス(デスロラタジン)、クラリチン(ロラタジン)です。タリオン(ベポタスチンベシル)、アレジオン(エピナスチン)、エバステル(エバスチン)は車の運転に注意が必要との記載があり、ルパフィン、アレロック(オロパタジン)、セレスタミン配合錠(抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤)などの抗ヒスタミン薬は車の運転をさせないようにとの記載があります。車の運転をされる方は、このことをよく理解して処方してもらうようにしましょう。
         
(2) ディレグラの高血圧
ディレグラは抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジンと血管収縮薬の合剤で、血管収縮作用によって鼻の粘膜を収縮させることで、鼻閉の改善が期待できます。血管収縮薬には血圧を上昇させる副作用があるため、若くて高血圧がない人には良い薬ですが、高齢であったり高血圧がある方は血圧上昇に注意が必要です。

(3) 血管収縮作用のある点鼻薬による鼻閉(点鼻薬性鼻炎)
処方箋が必要な点鼻薬ではプリビナ、トラマゾリン、ナファゾリン、トーク、ナザールなどや、市販の点鼻薬の多くは、血管収縮作用によって鼻の粘膜を収縮させて鼻閉を改善します。これらは使用してすぐ鼻閉が改善して患者さんの満足度は高いのですが、続けて使用しているとだんだん効かなくなり、さらには薬を使っていない時の鼻閉が悪化するため注意が必要です。薬の用法の欄には一日数回などとしか書いていないので、漫然と長期間使用している患者さんもいます。鼻アレルギーガイドラインには一日の使用回数を制限してせいぜい10日程度の使用にとどめるよう記載があります。特に鼻閉がきつい時期のみ使用し、できれば1日に1-2回の使用にとどめたほうが安全です。個人的には、このような薬が市販で購入できるのには、問題があるように思います。

(4) セレスタミン配合錠の長期投与によるステロイドの副作用
セレスタミン配合錠(ジェネリックはベタセレミン配合錠、エンペラシン配合錠など)は正しく使用しないと、アレルギー性鼻炎の治療薬のなかで最も注意が必要です。セレスタミンはステロイドと抗ヒスタミン薬の合剤で、1錠にベタメサゾンというステロイドが0.25mg配合されています。ステロイドには、体内で副腎皮質ホルモンが作られなくなる副腎不全、糖尿病、高血圧、免疫不全、骨粗しょう症など、さまざまな危険な副作用があります。効果は強く、ひどいときに限定して短期間に限り内服するなどしてうまく使うと、鼻炎の苦痛を大幅に和らげることができますが、効果は強いからと漫然と長期間にわたって内服するととても危険です。

上記で紹介していない、ナゾネックス点鼻、アラミスト点鼻、エリザス点鼻、フルナーゼ点鼻などの点鼻薬ステロイドや、オノン(プランルカスト)、シングレア(モンテルカスト)、キプレス(モンテルカスト)などの抗ロイコトリエン薬は、頻度が高い副作用はありません。
当院では、毎年使用しているなどの理由で希望する薬があればその薬を処方しています。特に希望がない方については、症状が軽い方には眠気のない抗ヒスタミン薬もしくは点鼻ステロイド薬を処方し、しっかり治療してほしいかたには、まずは眠気の少ない抗ヒスタミン薬に加えて抗ロイコトリエン薬と点鼻ステロイドを処方し、効果が不十分な時は眠気が少ないことが特徴の抗ヒスタミン薬から効果が強いことが特徴の抗ヒスタミン薬に切り替えるようにしています。症状が強い場合には、血管収縮作用のある点鼻薬やセレスタミン配合錠も処方しますが、その場合は上記の副作用や適切な使用法を説明するようにしています。
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