新型コロナやインフルエンザの検査を受けるタイミングについて
[2025.01.22]
新型コロナ、インフルエンザとも、いわゆる風邪と似た症状であるため、確実な診断とするためには病原体の検出をする必要があります。病原体を検出する検査としては、抗原検査とPCR検査がありますが、PCR検査は費用や時間がかかるため、クリニックでは抗原検査を行っている施設が多く、当院でも抗原検査を行っています。
では発症してから何時間くらいで検査するのがよいのでしょうか。それには、どれくらいのタイミングであればどの程度正確に検査できるのか、治療につなげるのであればいつまでに診断しなければならないか、ということを知っておく必要があります。 2021年のインフルエンザの抗原検査についての論文(#1)をみると、37.8℃ 以上の発熱および咳または咽頭痛を認める患者における抗原検査の検出率は、12時間以内は50.0%、12時間から24時間は60.9%、24時間から48時間は74.2%、48時間以上は75.0%となっており、発症から24時間まではインフルエンザの検出率が上がっていきますが、24時間以上待ってもそれ以上は検出率が上がらないような結果でした。(ただ、統計学的に有意な差がなかったため、解釈に注意がひつようです。)どのタイミングで検査を受けるべきかについてですが、12時間以内でも半分の患者さんは検出できますので、その分はやく治療できることを考えると、12時間以内では検査をしないほうが良いとは一概には言えません。ウイルスの増殖を抑える治療薬は、早く内服を開始したほうが効果的ですし、その日に陰性でも翌日に再検査することもできます。ただ、特に当日朝から熱が出た人は、午前中よりは夕方に来院されたほうが、検出漏れを防げる確率が高まりまることは知っておいたほうがよいでしょう。新型コロナについても同様のことが言えます。どのタイミングがよいのか迷ってしまうという方は、発熱から12時間から24時間くらいの時点で受診されるとよいと思います。
治療につなげるのも大切です。インフルエンザの治療薬は、症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータはありませんし、新型コロナの治療薬および重症化を予防する薬も、それぞれ発症から72時間以内および5日以内でないと有効性が証明されていません。せっかく診断しても治療につなげることができなければもったいないですし、いずれもウイルスの増殖を抑える薬で、早期に投与したほうが理論的には効果が高いと推測されますので、受診が遅くなりすぎないようにも注意をしてください。
#1 明石 祐作、他、発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響:前向き観察研究、感染症誌 95:9~16,2021
では発症してから何時間くらいで検査するのがよいのでしょうか。それには、どれくらいのタイミングであればどの程度正確に検査できるのか、治療につなげるのであればいつまでに診断しなければならないか、ということを知っておく必要があります。 2021年のインフルエンザの抗原検査についての論文(#1)をみると、37.8℃ 以上の発熱および咳または咽頭痛を認める患者における抗原検査の検出率は、12時間以内は50.0%、12時間から24時間は60.9%、24時間から48時間は74.2%、48時間以上は75.0%となっており、発症から24時間まではインフルエンザの検出率が上がっていきますが、24時間以上待ってもそれ以上は検出率が上がらないような結果でした。(ただ、統計学的に有意な差がなかったため、解釈に注意がひつようです。)どのタイミングで検査を受けるべきかについてですが、12時間以内でも半分の患者さんは検出できますので、その分はやく治療できることを考えると、12時間以内では検査をしないほうが良いとは一概には言えません。ウイルスの増殖を抑える治療薬は、早く内服を開始したほうが効果的ですし、その日に陰性でも翌日に再検査することもできます。ただ、特に当日朝から熱が出た人は、午前中よりは夕方に来院されたほうが、検出漏れを防げる確率が高まりまることは知っておいたほうがよいでしょう。新型コロナについても同様のことが言えます。どのタイミングがよいのか迷ってしまうという方は、発熱から12時間から24時間くらいの時点で受診されるとよいと思います。
治療につなげるのも大切です。インフルエンザの治療薬は、症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータはありませんし、新型コロナの治療薬および重症化を予防する薬も、それぞれ発症から72時間以内および5日以内でないと有効性が証明されていません。せっかく診断しても治療につなげることができなければもったいないですし、いずれもウイルスの増殖を抑える薬で、早期に投与したほうが理論的には効果が高いと推測されますので、受診が遅くなりすぎないようにも注意をしてください。
#1 明石 祐作、他、発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響:前向き観察研究、感染症誌 95:9~16,2021